
・滋賀県と鹿児島県住むならどっち?
・両県のメリットデメリットは?
・地方移住の参考にしたい
・住みやすい県、住みにくい県の条件の参考にしたい
という方に向けて参考になるように書いております。実際に両県に5年以上住んだ経験をもとに比較してみました。
なぜ鹿児島と滋賀を比較するのか
福岡出身の筆者が、鹿児島県と滋賀県にそれぞれ5年以上暮らしてわかったことを本記事にまとめました。実際に住んで比較してみると、「住みやすい県や地域に共通する条件」や「移住後に後悔しがちなポイント」が見えてきます。この記事では、鹿児島県と滋賀県の暮らしの違いを通して、地方移住の参考になるヒントや、妥協できる条件・できない条件の見極め方について考察します。
①【自然・気候の違い】鹿児島は火山灰と南国気候、滋賀は寒暖差が特徴
鹿児島:火山と温暖な南国気候が特徴
鹿児島は火山灰との戦い
鹿児島県は桜島、新燃岳といった活火山に隣接しており、噴火した場合に火山灰の影響を受けます。他県にはほぼ無い日本でも珍しい地域と思います。私も最初移住して最も衝撃的だったのが降り積もる火山灰でした。
特に鹿児島市内は桜島に近いため噴火した場合は風向きによって大量の火山灰が降ります。火山灰用のゴミ袋もあるほどです。火山灰が降る日は洗濯物を外に干せず、車に積もった場合洗車が大変です。とはいえ噴火+風向き次第なので頻度としては多くはないです。地元の人は慣れているので噴火しても大騒ぎにはなりません。また、活火山はデメリットばかりでなく温泉や食べ物の恵みをもたらしてくれます。
南国気候が好きな方にはおすすめ
鹿児島は他県に比べて冬暖かく、降雪日数も少なめです。そのため冬寒いのが苦手な方には他県より快適と思います。ただし、伊佐市などの県北部はしっかり冬冷えます。
⇩こちらの記事で詳しく解説しております⇩
鹿児島県の気候~夏暑い?冬暖かい?~
台風も来やすい
九州の南部は特に9月付近で台風が上陸しやすい地域になります。そのため大雨や強風により、学校や仕事が休みになることもあります。
滋賀:琵琶湖が寒暖差を和らげる
滋賀県は立地としては盆地なので、夏は暑く、冬は寒い地形なのですが、中央に琵琶湖があることで寒暖差の影響を抑えてくれます。夏は琵琶湖から冷やされた空気が地上に吹き、冬は琵琶湖が急激な気温の低下を和らげてくれます。
⇩こちらの記事で詳しく解説しております⇩
滋賀県の気候~夏涼しい?冬寒い?~
②【生活コストの違い】物価は鹿児島の方が低く、滋賀はやや高め
鹿児島:消費者物価地域差指数が全国で最も低い
総務省によると2023年の消費者物価地域差指数※は鹿児島県が全国で最も低いという結果があります。鹿児島県の住居費が安いのが大きく影響していると言えそうです。感覚的には1割ほど安く感じ、JR線の駅近物件でもそこまで高くない印象でした。
※出典 報道資料 消費者物価地域差指数 令和6年6月28日 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2023.pdf
滋賀:全国的にも物価はやや高め
滋賀県は2023年の消費者物価地域差指数では全国で16番目に高く、やや物価は高いと言えそうです。ただし、内容を見ると教育費が全国4位と高いのが影響しており、実際に住んだ印象としてはそこまで高く感じません。
③【アクセス・交通】鹿児島は他県へ移動しづらい、滋賀は関西圏アクセスが良好
鹿児島:県内、県外の移動は不便なことが多い
他県への移動ハードルが高い
鹿児島県は熊本県、宮崎県の2県しか陸地で接しておらず、かつ県境は山なので県外へ出るのに一苦労です。その他の手段としては鹿児島空港から飛行機で移動するしかないです。
県内での移動もほぼ車必須
県内にはJR路線がありますが、全体的に本数は多くないです。鹿児島市内の中心部であれば路面電車やバスもありますが、それ以外の地域での移動は車が必須と思います。さらに県東の大隅半島地域では電車の路線が全くないため車がないと生活が難しくなります。
滋賀:京都や大阪など、他府県に移動しやすい(県南部)

京都、大阪へのアクセスが非常に良い
JR沿線付近の南部地域(大津市~近江八幡市)であれば京都、大阪へのアクセスが非常に良いと感じます。県庁所在地である大津市の大津駅からなら新快速電車で京都駅まで約10分、大阪駅まで約40分です。
東西南北どこへでも旅行に行ける好立地な県
また、京都府、三重県、岐阜県、福井県と隣接しており、奈良県、兵庫県、和歌山県へも1時間~2時間あれば行くことができるため、東西南北どこへでも旅行に行くことができ、旅行先の選択肢が豊富です。
④【医療】鹿児島は入院医療の充実度が高く、滋賀は全国平均を下回る
鹿児島:急性期医療は全国平均以上、慢性期医療は平均を大幅に上回る
鹿児島県は入院医療の充実度を示す一人当たりの急性期医療密度指数は1.14、慢性期医療密度指数は2.17と全国平均の1を上回っております。また、一人当たりの病床数も比較的十分に足りており医療の充実度は全国平均より高めという印象です。
※出典 日本医師会総合政策研究機構
https://www.jmari.med.or.jp/download/WP352_data/46.pdf
滋賀:急性期医療は全国平均、慢性期医療にやや課題
滋賀県の入院医療の充実度を示す一人当たりの急性期医療密度指数は0.95、慢性期医療密度指数は0.77と全国平均の1を下回っております。また、一人当たりの病床数もやや下回っており医療の充実度は全国平均よりやや低いという印象です。
※出典 日本医師会総合政策研究機構
https://www.jmari.med.or.jp/download/WP352_data/25.pdf
⑤【教育】鹿児島の教育費は全国平均よりやや高め、滋賀は4位と高め
鹿児島:全国18位とやや高め
鹿児島県は全国的にも有名なラ・サール高校があるためか、2023年の消費者物価地域差指数では九州でも2番目に教育費が高い県となっておりました。また、県内の短大を除く国公立大学は鹿児島大学か鹿屋体育大学しかなく、選択肢が少ないため大学進学を機に県外へ出る可能性が高いと感じました。
滋賀:全国4位と高め
滋賀に限らず関西圏の教育費は全国的にトップクラスです。大阪府と京都府に中高一貫の学校が多く、学費が高くなりがちというのが一因と考えられます。滋賀からも電車で通学が可能なため教育費が高くなっていると思われます。
⑥【人の気質】鹿児島は保守的、滋賀は県外からの人に寛容
鹿児島:保守的な人が多い印象
立地的に外からの流入が少ない
県内に流入してくる人が少ないこともあり地元の人の結束力は強く、他県からの人に対してはやや排他的に感じることがありました。とはいえ新しい人にどう接していいか慣れていないために排他的な行動となってしまうのではないかと思います。
鹿児島、地元が大好き
九州生まれの人の多くに共通しますが、地元が好きな人が多いです。大人になってからも鹿児島県外に出たくない人は比較的多いと感じます。大きな変化を好まない、保守的な人が多いのは地元が好きだからというのも一因となりそうです。
滋賀:他県の人に寛容
立地的に流入が多い
滋賀県は関西圏・中部圏両方からの流入、もしくは流出も多く、人の出入りが比較的多い県と思います。そのためさまざまな県出身の人が住んでおり、地元の人、県外の人が混ざって同じ集団となることが多いのではないかと思います。
若い人が比較的多い
滋賀県は産業も盛んで様々な企業の工場や研究所があるため、転勤などで若い人が入ってくることも多いです。私も20代の時に転勤で移住してきたのでそのうちの一人です。若い人の方が比較的柔軟に変化を受け入れられるのも寛容さに影響していると思います。
⑦【人口】鹿児島は約150万人、滋賀は約140万人とほぼ同じ
鹿児島:約150万人、人口減少率は1.1%
総務省統計局の人口推計※によると、2024年10月時点での鹿児島県の人口は約1,532,000人となっており、前年比で1.1%の人口減となっております。65歳以上の高齢者の割合は34.2%となっており、全国平均の29.3%よりも高く高齢者が多い県といえます。しかし、15歳未満の割合は12.5%で全国平均の11.2%よりも高く、子供も多いのが特徴です。
※出典:人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2024np/index.html
滋賀:約140万人、人口減少率は0.3%
2024年10月時点での滋賀県の人口は約1,402,000人となっており、前年比で0.3%の人口減でした。65歳以上の高齢者の割合は27.3%で全国平均よりも低いです。また、15歳未満の割合は12.7%で全国平均よりも高く、鹿児島県とほぼ同じくらい割合です。
両県とも前年比で人口減少となっておりますが、滋賀県の方がやや減少幅は小さく、総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告※によると鹿児島県は県外への流出の多さが影響していそうです。鹿児島県内の大学や就職先は、大阪や京都に通学・通勤可能な滋賀県よりも選択肢が少なく、九州内なら福岡県等の大きな都市、また関西圏、関東圏へ行くことになりやすいと感じました。
※出典:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告2025年5月
https://www.stat.go.jp/data/idou/sokuhou/tsuki/pdf/gaikyou.pdf
⑧【食べ物】鹿児島は肉・魚なんでも美味しい、滋賀はそこそこ
鹿児島:海の幸、山の幸の宝庫

鹿児島県に住むメリットといえば食べ物が美味しいことが挙げられます。海に面していることからも海産物はもちろん、火山灰がもたらす肥沃な土壌で育った農作物や、黒豚に代表される畜産物もとても評価が高いです。
滋賀:鹿児島とのギャップを感じるそこそこ感
滋賀県といえば近江牛が有名ですが、日常的に食べられるものではなくお祝いなどで口にする程度です。県内産の農作物は美味しいですが、やはり鹿児島と比較すると食べ物は鹿児島に軍配が上がります。
まとめ
・鹿児島県は火山と密接に関わっており、特に鹿児島市内に住むと火山灰の影響を受けやすいです。台風の影響も受けやすく、滋賀県と比較すると災害リスクは高めです。ただし火山による温泉の多さは鹿児島のメリットといえます。
・立地上鹿児島県は他県への移動の難易度は滋賀県よりも高いですが、その分滋賀県よりも生活コストは安いです。地域内の結束は滋賀県よりも強く感じ、比較的保守的な人が多いように思います。滋賀県は県外から流入しやすく県外の人にも寛容な人が多いと感じました。
・人口は鹿児島県と滋賀県ほぼ同じですが、高齢者の割合は鹿児島が多く、若者の県外に流出しやすいのが特徴といえます。
・食べ物は個人的に鹿児島県の方が美味しく感じ、海の幸、山の幸、畜産物なんでも美味しい印象です。
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